第3話

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寝巻き用の緩やかなワンピースを3着、普段着になる着回しできる上下を5セット、上に羽織るカーディガンを2枚とセーターを1枚。足のサイズに合った靴を2足程買い揃え、ミグリアは上機嫌でユールヒェンの手を引く。 ユールヒェンは一見、その余りの身体の細さに目が行ってしまうが、小さく形の良い真ん丸な頭、長い首筋、脚は身長に対して長く、これで適度な筋肉と脂肪さえ着けば非常に美しく見えるスタイルの良さだった。痩せていることを引いても指先は細く、長い。顔も今の時点で整っており綺麗なのだから、痩せこけた頬がふっくらすれば相当の美人であることが伺えた。 そんなスタイルの良い美人のコーディネートを考えるのが楽しくない訳がなく、あくまでユールヒェンの好みを優先しながら服を選んでいく。ユールヒェンも自分の意見を聞いて貰えるのが嬉しいのか段々と楽しくなってきて、自ら服を手に取ったりして服屋巡りをしていた。 何故かやたらと荷物を持ちたがるアレンも一緒に、街の中心にある噴水の広場に設置されたベンチに向かう。柱に巨大な花の彫刻があり、蔦が絡みつくようにデザインされたブランコ風なベンチは3人が座っても重たい荷物を置いてもへっちゃらで、休憩がてら腰掛けた。 「お疲れアレンくん!」 「すみません、持ってもらって…」 「あ、気にしないで!ほら俺男だからさ!」 「このあと小物も見に行きたいけど、行けそうかな?」 「大丈夫だよ、任せておいて」 噴水はとても古く、頂点にヒビの入った天使の彫刻が飾られている。修復されたのか白く塗りたくられて綺麗ではあったが、物凄い長い歴史のあるものだそうだ。流れる水の近くには小さな虹ができ、透明な水は太陽に反射してキラキラと光っていた。 「ここまで来るまで、たくさんのオブジェがありましたね…。やっぱり、本で見るよりもすごい迫力」 「そういえば、前にオブジェについて新聞で特集組まれてたね」 「はい。噴水についても詳しく書かれていて、とても面白かったです。生で見られるなんて凄い…。 噴水の伝説とか、覚えてます」 「…そんな記事あった?」 アレンが首を傾げていると、ユールヒェンはコクリと頷いた。 新聞に乗っていた文を思い出しながら、一言一句正確に復唱する。
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