第二十話

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 皐月は快感に夢中で、可愛らしい言葉とは裏腹に細い腰を自ら艶めかしく揺らし、自分の感じる場所にそれが触れると微笑を浮かべ高い声で鳴く。  相手の言葉など本当に求めているのか、詠月はやれやれと肩を竦め、わがままで濡れた唇を塞ぐ。 「ねぇ、皐月くん……恋を経験した感想はどうだったの?」 「え……? なに……?」  何度も深く奥を貫かれながら皐月は詠月の質問を追うが、頭の先まで伝わる強い刺激にうまく頭が回らない。 「君が、言ったんだよ、恋がしたいって……」 「俺……? した……よ、詠月さんに……してる……」 「楽しかった……?」 「……ううん……。もう、いい……もう、しない……」 「もう音を上げるの? ロマンチストが泣くよ」  悲しげに皐月はかぶりを振って、拗ねた仕草を見せる。 「俺は……俺の好きな人に……愛されたかったんだ……、お父さんが……お母さんにそうしたみたいに……」 「君の……ご両親?」  初めて聞かされる皐月の生い立ちに詠月は思わず動きが止まる。 「そう……いつも笑ってた……なのに、もう……思い出せないんだ……。思い出すのは……冷たくて……動かないお母さんだけ……」  一瞬、皐月の大きく開かれた瞳から大粒の涙が悲しげに零れ落ちた。
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