510人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
第二十六話
「産まれてくる子はαかな、Ωかなぁ……」詠月は耳をお腹につけて中にいる我が子を思う。
「……俺はなんとなくαな気がする」
「どうして?」
「なんとなく。詠月さんそっくりな子が産まれそうな気がして……圧が強いから、いや、念……?」
皐月は顎に指を添えて眉をひそめる。
「ちょっと? 最近の君は僕にすごく冷たいよね。あたりがきついっていうかさ、最初はもっと可愛かったのに……」
「Ωのが良かった? すぐに一緒に住めなくなるんだよ?」
「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!! そうなったら施設に皆で住もう!!」
思わずぽかんとした顔で皐月は、駄々っ子にように必死に首を振る詠月を眺めた。そしてゆっくりと笑みを浮かべる。
「そうだね──、そんな未来が早く来るといいね。αもΩも、家族みんな一つ屋根の下で住める幸せな世界に──」
最初のコメントを投稿しよう!