epilogue

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「ええ~?! 生まれる前からそんなこと考えてるの?! 人間の子供なんて口をきくのにも何年も掛かるんだよ? そんな感情持つの、ずっと先の話だよ?」  あまりの下らなさに皐月の声は無駄に大きくなってしまう。 「じゃあ英才教育するよ。君は僕の、僕だけの番なんだって0歳から教え込む!」  さっきまで親馬鹿ぶりを披露していたのにいきなり狭量な、αとは思えないあからさまな独占欲を詠月は見せてくる。あまりの変わりように皐月の涙もすっかり引っ込んでしまった。 「──詠月さんて、俺が思ってたより賢くないよね」  ひどく冷静な声色と溜息で皐月は言い放った。 「なっ、どーいうこと?!」 「そのまんま。やっぱαってお坊ちゃんなんだね」 「呆れた……。みたいな顔で言うの辞めてよ! 父親としての沽券に関わるよ!」 「子供部屋は大きくなるまでいらないからね。小さいうちは俺たちと同じ部屋で過ごそう。あと……」 「ねぇ?! 僕の話聞いてる? 聞いてるよね??」  詠月は皐月の手を引いて必死に訴えてくるが、皐月はスッと手を引いて胸の前で腕組みし、数ヶ月後に控えている出産計画にのみ思いを巡らせている。 「皐月ってば! ねぇ!」 「詠月さん!」  ピリッとした声で名を呼ばれ、真っ直ぐ皐月に見つめられ、まるで詠月は今から親に叱られる子供のように思わず背筋を伸ばした。 「ハイッ」 「──愛してるよ」     
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