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「強情なやつめ。なぜ分からぬのだ――もはやお前の行くべき場所は我の元にしかない。それともこの狂った世界で永遠に過ごそうというのか」
言葉に応じるかのように、空間が銀色を強くする。それはほんの一瞬の輝きに過ぎず。彼らに干渉することもない。
再び光を鎮める空間の中央で、娘は小さな唇を開く。
か細く、空にかき消えそうな、流れ落ちる夜露の声で。
「あなたさまの隣には、行けませぬ」
それは殊更に揺らぎのない言葉。男の苛立つ心に、迷いなく火種を投じる。
男は声を荒らげた。
「なぜだ。なぜそこまで我を拒絶する。そなたは我を愛しているのではなかったのか」
娘の紅い瞳がひととき悲しげに揺れる。いいえ、と答える声は、それでも静けさを失わず。
「いいえ、あなたさま。わたくしはあなたさまを愛しております。この世が終わるまで、わたくしの心はあなたさまのもの」
「ならばなぜ」
「けれど世には守らなければならぬ理がございます。わたくしはあなたさまの隣にいられませぬ。それがこの世の理ゆえ」
何が理か――男は苦々しく吐き捨てる。
逞しい片腕を広げ、彼らを包む異常なまでに透き通った世界を示し。
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