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ここには素晴らしくミッドセンチュリーモダンな椅子があり、しょぼくさびれている。
その椅子に腰掛けてふと見下ろすとだちょうがいたので、みんなでにらめっこをした。
最初にギブアップしたのはカフェオレ男で、優勝したのはだちょうだった。
私ときこちゃんは同時に笑ってしまった。
だちょうは限りなくスティーブ・ブシェミに似ていた。
顔の肉がゆるく垂れていて、神経質そうで、不眠症っぽかった。
だちょうとのファイトに負けた私たちは建物の右側、肉食動物のコーナーに移動した。
ここのアムールトラには心底感動した。
つやつやとした毛並み、太い足、ぺたぺたと床を押す肉球。
私たちはアムールトラにほれぼれした。
「眼光が違いますもんね」
「横になってくれないかな。腹を枕にして寝たいよ」
「すぐ起きて噛み殺されるわよ」
他にも「ヤの字の自由業」の人の邸宅に敷いてありそうなものがたくさんいた。
ライオン夫妻はだるそうに寝ていた。
肉球にさわりたくてうずうずしたけど、
さわったとたんに肉球にされそうだったのでやめた。
「一応さ、百獣の王なんだよね」
「そうね」
「でもなんかくたびれサラリーマンみたいッスね、この雄ライオン」
「まるであんたみたいにな」
「違いますよぅ」
ひとしきり肉球を堪能したところで外に出て、
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