ウィンターワンダーランド

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身体が芯から冷えきってしまったので、私たちはは虫類館へ駆け込んだ。 途中、カフェオレ男が転びそうになった。転べばよかったのに。 リクガメがひっくり返っていた。 手足をばたつかせて起き上がろうにも起きあがれない。 「ほら、カフェオレ男、友だちだよ」 「僕、リクガメじゃないッス」 「にしても、かわいそうだなあ、あれ、一生ああやってんのかな?」 「誰か呼びに行った方がいいのかしら?」 「あ、飼育員さん走って来ましたよ」 私たちはリクガメが起こされるのを見届けて、熱帯植物園へ行った。 この巨大な温室こそ、常夏の国かと思ったのに、 想像以上に寒くて結露がひどく、ところどころにバケツが並んでいた。 ときどき天井から水滴が落ちて来て、一度カフェオレ男のおでこにヒットした。 休憩できそうなテーブルを見つけるとカフェオレ男はトイレへ行き、 私ときこちゃんはテーブルにつき、 恐竜時代の箱庭みたいな木々を黙ってしばらく眺めていた。 先に口を開いたのはきこちゃんだった。 「お酒があればいいのに」 「お酒?」 「うん、甘くて強いお酒がいいな」 熱帯の木々に包まれて、甘くて強いお酒を飲むなんて、 まるで南の島のバカンスみたいだ。     
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