薄桃色の雪

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1年半前に会社を辞めた男の子から連絡が来て、仕事帰りに会う約束をした。 彼とは一緒に働いていた頃、ときどきみんなで、 あるいはふたりでごはんを食べたり、バーに飲みに行ったりした。 仕事をしていても、ごはんを食べていても、 「ウマが合う」とは、この子のことなんだろうな、と思った。 恋人にも言えないようなことまで、私たちは延々と、楽しく話をした。 そういう付き合いだった。 退社後、彼は同業他社の札幌支社で働いていたのだが、 半年前に東京へ異動になった。 「俺は優秀だからな」と本人は言っていたけれど、おそらく客観的事実だろう。 今回の来札は出張らしい。
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