甘く冷えた街で

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札幌のおばさんの家に来て、そろそろ2カ月ちょっとになる。 東京の中学で卒業式に出て、その翌週の土曜日には札幌にいた。 それからはお母さんの妹にあたる真希おばさんの家で暮らしている。 真希おばさんは結婚してなくて、 おじいちゃんもおばあちゃんも札幌にいるのに、 マンションを買ってひとりで住んでいる。 マンションは「3SLDK」で、部屋が余っているので、 私が来てもちっとも狭くない。 東京の美術系の高校を受験してもよかったのだけど、 ふと思い立って、お母さんに札幌の美術系の高校を受験したいと相談した。 すると、あっさりと 「いいわよ。おじいちゃんおばあちゃんのところか、  真希ちゃんのところに行くといいわね」と言われた。 私の予定では、もうちょっと反対とかしてくれるはずだったのに。 「私、もう子どもじゃないのよ! 自分の進路くらい自分で決めるから!」 くらいのことは言ってみたかったのに。 私は自分の宣言にちょっとしたドラマを求めていたのだった。 しかし、おじいちゃんおばあちゃんはもちろんのこと、真希おばさんも 「あら、じゃあ、うちへ来たら? 自分のことは自分でしてもらうけどね」 と、私の札幌暮らしを快諾してしまった。 それで私は、札幌で女子高生として生きることになったのだ。
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