甘く冷えた街で

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真希おばさんくらいの歳の人は、世の中にわっさりといる。 でも、大人っぽくない。 同じ話を何度もするし、人の話は聞かないし、 流行の軸から外れた姿をしているのに、流行を追いたがる。 水分が足りなく、油分が多そうに見える。ついでに老廃物も多そうだ。 責任逃れに命をかけて、他人にかまけてばかりいる。 手はかけているのだろうけど、その手入れがおそらくよけいに状況を悪化させている。 私の中の「おばさん」というカテゴリーに属する人への印象は、こんな感じ。 真希おばさんは私の「おばさん属」の印象を片っ端から打破していく。 おばさんと話をしていると、退屈するということがない。 どんな球を投げても、おばさんはいい音を立てて私の話題をキャッチする。 調子にのって言い過ぎたり、間違ったことばを私が使うと、やんわりと、 それでいてピシャリとたしなめる。 私と同い年と言うにはかなり無理があるけれど、 「おばさん」とか「ババア」と呼ぶ方が無理だ。「若い」も違う。それじゃ安っぽい。 ピンとした張りと、ふんわりとしたゆるさとうるおいが同居した感じがする。 「女っぽい」って、多分こんな感じなんだろう。
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