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物語の中の、架空の世界とはいえ……。
少年はもし自分に愛する人がいたとして、その人を百年間もの間待てるものだろうかと考えた。
「はは、まあ、作り話だしね。」
気付かぬうちに真剣な表情を浮かべてしまっていたらしく、男に笑われる。
「人の心というのは不思議だね。」
「?」
男の白い腕が伸びてきて、少年の頬に優しく触れる。
「百年待っても惜しくないなんて…….いつか俺もそんな恋がしてみたいな」
にっこりと微笑んだまま少年の頬を撫で、黒髪に指を絡ませる。
「恋…………」
「そ。身を焦がすような、ね。」
男の眼差しに妖しい影が過る。
夕方の熱を孕んだ風が校庭の砂と花の香りを運んでくる。一際強い風に少年が目を眇めた瞬間だった。
「んんっ………っ!?」
不意に深く口づけられ、為すすべもなくベッドの上で固まる。何度も角度を変えて少年の桃色の唇を啄ばみ、貪る男。
「っ……ん、ふ、んんっっ………っ」
男はなかなか解放してくれず、息苦しさに鼓動が加速する。
「…は、はあっ………」
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