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「ちゃんと目を見て。」
「…っ、」
これ以上の辱めなどあるのだろうか。
これ以上のことを口になど、少年には到底できるはずもない。
この男は、一体何がしたいのだろう。
少年はふとそう思う。
ただただいたずらに少年の自尊心を抉るようなことばかりする。羞恥を掻き立て、蹂躙し、限界まで追い詰められる。
この男だけではない。
理科教師、音楽教師、数学教師、美術教師…
この學校は………
學校は……………………
「………こないだ、」
絞り出す声。
「なんだい、」
再び男の手のひらに押される下腹部。
「ひ、…っぐ………」
それでも。
「可愛い泣き顔でそんな怖い目しないでくんない?どうしちゃったのかな?」
それでも。
知りたい。
少年の中で何かの弾ける音がした。
「こないだ、美術の……、先生に聞きました……」
男の眉がぴくりと動く。
「何を…聞いたのかな?」
「この、學校について……………です…」
「…ふぅん?何て?」
少年は、そのガラス玉のような濡れた瞳を真っ直ぐ男に向けていた。男の瞳へ。この蒼い瞳へ。
「何故、先生がたは僕にこんなことをなさるのか……。そう聞いたんです……」
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