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「どうして……っ、」
「『教えられない』ということも含めての罰だからだよ。」
「何か………僕は何かしたんですか…」
「何かって?」
「…っ、僕の覚えていることは……ときどきぼんやりとしていて…思い出せないことが…いくつもあるような気が、するんです…………その中の一つが…いえ、……もしかしたら沢山…………誰かを傷つけたり……悲しませたり…。僕が覚えていないだけで……….、何か…もしかすると、とんでもないことを……僕はしたんでしょうか…………だから…こんな目に………………?………っ、」
もう、何を信じれば良いのかわからなかった。
周りの大人も、自分の記憶も、この世界の存在さえも。
「ここは…本当はどこなんですか……、今日だって……、保健室に朝来たことは覚えているのに、一緒に登校したクラスメイトの顔も名前も……よく思い出せないんです………」
涙と一緒に溢れんばかりの不安が口をついて出る。
がたがたと震えながらなんとかその小さな口を動かす。泣くたびにひくひくと痛ましく鳴る細い首筋に男は黙って口づけた。
「君は、本当に優しいね。」
「……?」
どういう意味…。
そう聞こうとして口を開いたところ…
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