体育教師の情熱

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 少年が目を覚ますと、薄暗い視界の中にまず目に入ってきたのは横向きの数字の「5」だった。 「ん……?」 何だろうと思ってよくよく見てみると、それは木製の何かに書かれてあるらしかった。思考がはっきりとしてきて見る範囲を広げてみると、一つ上には「4」と書かれた板が、一つ下には「6」と書かれた板がある。ああ。なるほど。  少年が身を起こすと、思い浮かべていたものがそこにはあった。跳び箱だ。少年は積み重ねられた体操マットの上に寝ていたらしかった。辺りは暗かったが目が慣れてくると他にもさまざまな物が見えた。鉄製のかごに入ったたくさんのバスケットボール、平均台、競技に使う得点板、校庭のライン引き……。 「ここ、体育倉庫?」 「そうだ。」 不意に声が聞こえて少年の肩がびくりと跳ねた。
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