1298人が本棚に入れています
本棚に追加
/130ページ
少年が目を覚ますと、薄暗い視界の中にまず目に入ってきたのは横向きの数字の「5」だった。
「ん……?」
何だろうと思ってよくよく見てみると、それは木製の何かに書かれてあるらしかった。思考がはっきりとしてきて見る範囲を広げてみると、一つ上には「4」と書かれた板が、一つ下には「6」と書かれた板がある。ああ。なるほど。
少年が身を起こすと、思い浮かべていたものがそこにはあった。跳び箱だ。少年は積み重ねられた体操マットの上に寝ていたらしかった。辺りは暗かったが目が慣れてくると他にもさまざまな物が見えた。鉄製のかごに入ったたくさんのバスケットボール、平均台、競技に使う得点板、校庭のライン引き……。
「ここ、体育倉庫?」
「そうだ。」
不意に声が聞こえて少年の肩がびくりと跳ねた。
最初のコメントを投稿しよう!