体育教師の情熱

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そもそも自分は何故こんなところで眠っていたのだろうか。そういえば自分は体操服を着ている。体育の授業中に疲れて?いや、そんなはずはない……。 「ま、どうでもいいがな。こんなところで寝ていたら夏とはいえ風邪を引くぞ。」 「すみません……。」 少年は尚もぐるぐると思考したが、一向に思い出せなかった。思い出せたことと言えば……。 「あの、すぐに出ますので。」 「いや、その必要は無い。」 立ち上がった少年の細い腕が捕らえられた。視界が回転し、次の瞬間少年は灰色の天井を見上げていた。 「おや、」 少年をマットの上に押し倒した体育教師は短髪に精悍な顔立ちの頭を傾けた。 「こうなることがわかってたって顔だな。」 「はい、ええと、まあ……、」
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