技術科教師の憧憬

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この部屋が狭いのか広いのかすら少年には検討もつかない。ただ気がついたときには自分は一糸纏わぬ姿でこの鉄の機械の中に入れられていた。機械はなんとも形容しがたい形をしており、手首と足首を機械から離れぬようがっちりと固定されているらしかった。暗がりの中目を凝らせば近く遠くさまざまな大きさの歯車が見えて、どこがどう連動しているのだかわからないがなかなかにそれが複雑で大きな造りであることがわかった。頭は固定されていないのでまあ動かせる。俯せに寝かされた体勢で、胸も腹も脚も冷ややかな鉄に触れている。正直寒い。
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