カフェオレ男くんの恋愛と世間体(後編)

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「どれよ」 「あのカエルみたいな色の服の」 アーちゃんはやや眺めて、 「サッチン?」 「サッチン」 「えー、サッチンはこんなとこ、来ないよ、あのコ、バリバリのインドア派だもん」 「いや、あの前髪パッツンロングで、赤いセルフレーム眼鏡で、カエル色の服。  あんなのサッチンしかいないって」 「じゃあ、私、見てくる」 アーちゃんは果敢にも僕を放置し、再び頂上目指して上って行った。 そして頂上の一段下を一周して、再び僕のところへ戻って来た。 「どうだった?」 「似てなくもないけど、違うとも思う」 「違う?」 「でも」 アーちゃんは振り返ってサッチンらしき人を確認して、言った。 「あのかばん、サッチンがこないだ買ったっていうかばんに、似てなくもない」 「かばん?」 「みどりの亀がたくさんついたトートバッグ」 僕は少しだけ前に行って、かばんを眺めてみた。 「似てなくもない」どころか、そのまんまのかばんだった。 サッチン、というのは、僕らの職場にいる、アシスタントの女の子だ。 この子と、この子の上についている数名が噂をまき散らす元凶であり、 彼女は職場内でもっとも警戒すべき人物のひとりだ。 実は僕らが恋におちる寸前に、まったく別の場面から、     
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