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ゆらゆら。
浴槽に柔らかな夕暮れ近くの光が射し込んでいる。
光は、お湯の揺らぎを浴槽のタイルの底に映し込み、
私の身体にゆらゆらとモザイク模様を描き出す。
桶を置いたり、湯をかけたりする音に、
ワンワンとエコーがかかる。
「スーパー銭湯だとさぁ」
マコが言う。
お湯を両手のひらですくって、顔をわしわしと洗いながら。
「この時間、こんなにゆとりはないよ」
「そうかも」
と、リコが言う。私もうなずく。
「やっぱり風呂は、ゆとりがなくっちゃね」
マコがだらりと身を投げ出して言った。
銭湯は空いていた。
浴室内には腰が曲がり、おっぱいがするめみたいになってるのに、
乳首が妙に淡いピンク色のおばあちゃんと、
ピンと張った肌のゾウアザラシみたいなおばちゃんと、
私たちくらいしかいない。
あるいは、もう何人かサウナにいるのかもしれない。
ときどき肌を真っ赤に光らせたおばちゃんが水風呂に入るから。
でもいったい何人いるのかわからないし、数える気もない。
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