ススキノ・フェアリー・プリンセス

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リュウは、姫の店の向かいのビルで店をやっている。 店の中は姫の店よりも狭くて、ポスターとかでごちゃごちゃしている。 映画のポスターなんだそうだ。 カラコロとドアについた鈴を鳴らして店に入ると、 カウンターの中でリュウが本を読んでいた。 リュウは顔が外国人みたいに派手で、しかもヒゲだから、ちょっと怖く見える。 「遊びに来たよ」 「よう、バレリーナ」 リュウとは前に、私が姫の店に来て、 退屈で外で遊んでいたときに友だちになった。 「入っていいの?」 「まだ、客、いないからな。いいぞ」 カウンターの、ドアにいちばん近いところにいつも座る。 お客さんが来たら姫の店に帰るのが約束だ。 リュウは姫に電話をかけて、 「今、来ましたんで。お預かりします」 と言ってくれる。大人の約束事なのだそうだ。 子どもって、面倒くさい。
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