ススキノ・フェアリー・プリンセス

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ローソンでおつかいを終えて、 また、てくてく歩いて店に戻る。 店の前には焼き鳥屋さんがあるんだけど、 ときどき店が早く終わったら、食べに行く。 今日も行けるといいな。 店に入ると、拍手で迎えられた。 お客さんがみっちり入っていた。 いつものように、にっこり笑って「こんばんは」と言う。 お客さんは 「かわいいねー」「ホントに姫ちゃんのお嬢さん?」 「顔、ちっちゃいねー」「ほっそ~い」「手足長~い」 と言う。いつも同じだ。 あとは姫に言われる通りにお手伝いをする。 アイスペールに氷を入れて、テーブルに運んだり、 ソファの席のお客さんにおしぼりやお皿やお箸を渡したり、 (女の人に渡すのがコツだ) カラオケの曲番号を書いたメモをもらってきたりする。 カラオケで盛り上がり始めると、姫が 「ありがとう、もういいよ」 と言うので、 カウンターの中の、ドアのないクロゼットの中に体育座りで入って、 本を読んだり、ゲームをやったり、iPodでバレエの曲を聴いたりする。 前に姫の「ボーイフレンド」に 「目が悪くならないように」と、ライトをつけてもらった。 延々とカラオケが聴こえる。 私の方が上手だ。 腕時計を見て、その時間だと、姫にことわってから外に出る。 小路を挟んだ向かいのビルの店に遊びに行くのだ。
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