心でコートを着てみること。

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ひたすら私を切り裂くような猛吹雪の真っ白い中を歩いて、 気を失いそうになったり、獣に襲われそうになったり、 雪に埋もれそうになったとしても、 私はいつもちゃんとそこに辿り着く。 私は扉をノックする。 足踏みをしながら。 ややあって、温かな部屋の空気と共に、 おばあちゃんが(あるいはおじいちゃんが) 「寒かったしょ、入んなさい」 と出迎えてくれる。 私は玄関に滑り込む。 扉は閉じられ、おばあちゃんは小さなほうきで、 私のコートの雪を払ってくれる。 頭に積もった雪も。 そしてまっ赤になった耳と頬を見て 「寒かったっしょぉ」 と、心底せつなそうにつぶやく。 「ほれ、早くストーブにあたんなさい」 と、私の背中を小さな体に不釣り合いな、 ごつごつとした、大きなてのひらで押す。
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