心でコートを着てみること。

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ストーブは薪ストーブで、 小さな窓から朱色の炎が見える。 ストーブの上の、大きな銀色の鍋には、 乾燥防止のお湯が張ってあって、 ストーブ台は小さな豆の形をしたタイルだ。 「ほれ、コートこれに掛けなさい」 とおばあちゃんはハンガー (おばあちゃんはえもんかけと言う)を持って 私にコートを脱ぐようにうながす。 私はほんの少しだけさびしい気持ちになる。 コートから出ているところはまっ赤に痛くなっているけど、 コートに包まれた部分は、 自分の体温でぬくぬくと温まっているから。 コートを脱いでおばあちゃんに渡す。 おばあちゃんはコートが私の分身であるかのように、 そっとコートを「いいこいいこ」して、 ハンガー(えもんかけ)に、うやうやしく掛ける。
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