彼女は実は人間だったりする。

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彼女は実は人間だったりする。

2029年、7月9日。晴れ。 特に異常はない。 今日も「彼女」はいつも通り、全国からくる気象予測や物理シュミレーションの演算を行い、国のデーター保存所に送っている。 記録:第203号。39日目。 僕はタブレットに記録を書き終え、国の記録管理者に送った。 目の前に座る白髪の少女、「白」は、虚ろな目を少しだけ開けて休憩している。 今日はいつもより演算の依頼が少ない。 というのは、今日は実は「人間自由記念日」なのだ。 おっと。これはまだ話していないことだったね。 昨日話した通り、去年人間と機械が戦争をして、(人間がたくさん死んじゃったけど)引き分けという形で終戦になったんだ。 それで、これからは機械に頼らず人間だけの力で生きていこうっていう気持ちで、大きく国の制度が変わった日を「人間自由記念日」と設定したんだ。 それがちょうど今日というわけ。 国が運営する施設以外の全ての企業はお休みになっているし、一年の中で数少ない飲酒許可日なんだ。 だから人間たち、今日はお祭り騒ぎになっているよ。     
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