9人が本棚に入れています
本棚に追加
……まあでも正直、僕はこの日が嫌い。
人間って酔うとすっごく面倒だし、あのお酒のにおいもいやだ。
(っていうのは、国の関係者の中に隠れて飲んでいる人たちがいるからね。これは内緒だよ。)
ともかく、そう言う理由もあって、今日は一段と暇なんだ。
まだ業務終了の時間には間があるし、これといってやることもない。
……でも、唯一やってみたいことといえば、「白」との会話かな。
彼女は今まで一度も目を合わせていないし、声を出していなければ話したこともない。
果たして会話という機能が彼女に残っているかどうか、確かめてみたくなってしまうのだ。
でも、どんな感じに話せばいいんだろう。
いきなり「今日はいい天気ですね。」なんて言われても、普通の人間でさえ回答に困ってしまうだろうし。
ここは無難にいってみようか?
僕は部屋の中央の席に座る彼女のそばに行くと、少しかがんだ。
「白さん。何かお飲み物は召し上がりますか?」
「………………。」
応答なし。
質問が悪かっただろうか?
「いえ、今日は気温が上がっていますから、白さんが喉が渇いていないかと思いまして。何か必要なものがあったら、おっしゃってください。ここに無いものでも頼めば持ってきてくれますし、食べ物だって……」
「……白。」
最初のコメントを投稿しよう!