彼女は実は人間だったりする。

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「えっ?」 思わず聞き返してしまった。 別に、質問の答えとして驚いたのではない。 ただ、彼女が放った声があまりにも綺麗でびっくりしたのだ。 「し、白ですか?」 「……白。私の名前。白さんじゃない。」 なるほど。 「では、白、ですね。何かお飲み物は要りますか?」 「…………いいえ。」 ひとまず大きな収穫。彼女は会話ができる。 もちろんこれは人間として当たり前のことだろうけど、今まで彼女は一言も話していなかったから、驚きだ。 ましてやあんなに綺麗な声なんて思ってもみなかったよ。 もし普通の人間だったら、あの声で新しいビジネスが作れるんじゃないかな。 「……あなたは。」 「えっ!あ、はい!」 いきなり声をかけられたもんだから、びっくりしてしまった。 「あなたは、誰?」 「えっと、僕は第203号です。主に人間とお話をしたり、介護をすることが目的で作られた機械人間です。」 「…………機械?」 彼女は僕を見た。初めて目が合った。 「機械は全て、焼却炉に入れられたはず。なのにあなたは、どうしてここにいるの?」     
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