僕には秘密があったりもする。

2/2
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
「確かに去年、あの戦争が終わってから全ての機械が処分され、白のように、人間に機械を埋め込む実験が計画されました。」 僕はまず、順を追って説明をしていこうと考えた。 「しかしその時、機械に感情を芽生させ、人間として生きさせることはできるのか、と言う実験も計画されたんです。」 白は何か考えているのか、目を少し伏せている。 「…………つまり、その実験に参加している機械、というのが……あなた。」 「……そうです。人間は僕だけを処分の対象から外し、人間に反抗する意思がないか検査をしました。」 もともとそんな意思は全くなかったんだけど。 あの戦争の中でも、僕たち介護用ロボットは1人も人間を殺していないし、むしろ何人か助けてあげたんだ。 「そして約300の検査を通り抜けて安全と認められた僕は、白が参加している実験に加わり、今に至るわけです。」 「…………。」 白は伏せていた目を上げ、目を合わせた。 「……状況を把握しました。私は白。人型スーパーコンピューターのテストno.13です。これからよろしくお願いします。」 「こちらこそ」 僕はそう言って、少し笑ってみせた。 「おっと。もうすぐ業務開始時刻ですね。朝食は何がいいですか?」 また少し目を伏せた。 考える時の癖なのだろうか? 「…………。甘納豆。」 意外だ。 7月10日 9時00分 業務開始。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!