あるゲームのエンディング

10/14
31人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
 魔王は、強大な力を持つ魔法使い寄りの攻撃をしてくると話に聞いていた。ぼくがこの場まで残された意味を考えるなら、魔王の使ってくる術すべてを防いでみせよう。彼だけは、絶対に殺させない。  魔王の居るであろう最終フロアへの扉を前に、ふいに嫌な予感が体を駆け巡った。  それは死の予感なんかじゃなくて、もっと別の、大いなる何かによって手のひらの上で弄ばれているような錯覚を孕んだもので。  手のひらの上。……誰の?  魔王の手のひらの上、だとは思えない。そんな単純な話なら、この場で感じるのは嫌な予感じゃなくて武者震いのはずだ。自分たちを弄んでいた魔王とようやく決着をつける時が来たのだから。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!