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最終的にぼくがその場に残ることになるなんて、思ってもいなかった。
前を走るぼくらの勇者――レツの背中を見遣る。ぼくらは元々四人のパーティーで、異世界からやってきた勇者であり人体実験のために人とは呼べなくなってしまった少年のレツ。魔王によって飼われていた半魔人のスルド。口は悪いけどレツにひそかな想いを寄せる、僧侶のフェリサ。そして自分、比較的平均年齢の若いチームだったけれど、レツ以外の三人は皆この魔王城に乗り込んだ時、同じことを考えていたはずだ。
最後の戦いに、レツ一人だけでも無傷で送り出す、そのために自分の命を使うんだ、と。
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