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慌てて退散しようとして、飛びかかられた。押し倒され、術で張ってあるはずの結界も獣が触れた瞬間砕け散る。術無効特性でも持っているのかもしれない。砕け散った魔力片が、獣の毛皮に融けていく。
狼のように鋭く尖った歯が襲いかかってきたその時、追ってきたリュータが獣人を突き飛ばした。
「なんでいきなりピンチになってるのさ」
「わ、悪い。ああいうのが野放しにされてるとは思ってなくて」
彼の手によって助け起こされながら、我ながら言い訳じみて聞こえる台詞を口にする。
「あれは、ひょっとしてレツ?」
「……かもな」
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