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「それでも美味いんですー」
ハハッ、と笑う裕也君に、私も照れ臭く笑顔を見せる。
そうしていると、裕也君はサンドイッチを頬張りながら、何やらボックスリュックの中から、一枚の絵を取り出した。
差し出され、眺めて見ると、それは……。
「私……?」
「当たり、前は渡せなかったからですね。部活の時にちょっとずつ描いてたんです」
「わぁ……」
美しい色合いに、素敵な笑顔をしている。
「ありがとう、凄く嬉しい」
泣きそうになりながら、私は、好きな人と同じ幸せな気持ちを、毎日のように噛み締めている。
絵の中の私はにっこり笑っていて、その絵を見て、自分からも心からの笑顔が零れ落ちた。
─了─
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