最終章 『大好きですよ、沙紀先輩』

4/4
35人が本棚に入れています
本棚に追加
/162ページ
「それでも美味いんですー」  ハハッ、と笑う裕也君に、私も照れ臭く笑顔を見せる。  そうしていると、裕也君はサンドイッチを頬張りながら、何やらボックスリュックの中から、一枚の絵を取り出した。  差し出され、眺めて見ると、それは……。 「私……?」 「当たり、前は渡せなかったからですね。部活の時にちょっとずつ描いてたんです」 「わぁ……」  美しい色合いに、素敵な笑顔をしている。 「ありがとう、凄く嬉しい」  泣きそうになりながら、私は、好きな人と同じ幸せな気持ちを、毎日のように噛み締めている。  絵の中の私はにっこり笑っていて、その絵を見て、自分からも心からの笑顔が零れ落ちた。 ─了─
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!