第一章 『お世話になります、沙紀先輩』

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「あら、沙紀、話していたじゃない」 「……言ってたっけ? 知らない」 「言ったよ、嘉内(かない)さん所の兄妹を、うちで預かることになったって」 「……知らないよ」  反抗期で口数が少ないのではなく、それは小さな頃からで、決して家で無理をしているわけではなかったが、両親と話をすることはあまりなかった。  詳しく聞けば、父が務める銀行の取引先の、“嘉内さん”と、いう人の転勤の事情で、嘉内さんの兄妹をうちで預かることになったらしいではないか。
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