第一章 『お世話になります、沙紀先輩』

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 高校生の男の子と、中学生の女の子。どうやら、兄の方は、私と同じ高校らしく、良かったな、と言われる。  良かったなって、別に良くはないと思うけれど……。  口数が少なくても、三人暮らしが慣れていて居心地が良いのに、誰かが来て生活のリズムが変わるのは、あんまり好ましくない。  嘉内さんって、一体誰なのだろう。  両親からは、てっきり事情を知っていたと思われているらしいが、何も知らなかった。  ──何だか、気が引けるな……。  私は乗り気にはなれなかった。
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