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再会
うーえ 見ぃれば 虫っこ
なーかぁ 見ぃれば 綿っこ
しーたぁ 見ぃれば 雪っこ
子どもが昼間歌っていた。地元の言葉の童謡はたわいもないが覚えやすく、いつまでも耳に残った。
綿帽子を被り、身を二回りも大きくした庭木が壁のように並んでいる。手を伸ばし、白い壁の一部を掻き取ると、火照った手のひらの上で儚く消えた。
顔を上げると、闇の中から浮き上がるように白い点が無数に降りてくる。そのうちの一つを見つめていると、近づくにつれ大粒になったそれは、上気した頬であっけなく溶けた。
部屋の外にしつらえられた檜の湯船の縁にショウが腰掛け、人差し指一本で僕を手招く。
軒下に置かれた擦りガラスのランプが、厚い筋肉の束が全身に張り巡らされたショウの裸体を照らす。古代ローマにおける神族の大理石像を思わせる体躯は美しく、どれほど見慣れようとその魅力は衰えることがない。高い鼻と凛々しい眉に囲まれた二重の瞳に見つめられると、僕は何も抗えなくなる。
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