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うちは貧乏だったから、勉強机もないし、家に帰ってもいつも1人だったから、学校から帰ると、公営の図書館に行った。
図書館には参考書もあったし、問題集のような物も少しだけどあって、俺は、それを学校からもらうお知らせプリントの裏に書いて解いた。
将来トラック運転手と美容師にだけはなるまいと、必死で勉強した。
5時になると、里奈の学童保育のお迎えだから、それまではずっと図書館にいた。
母親は、2駅先の『フレンド』とか言う美容室に勤めていた。
帰りは毎日遅くて、11時でも早い方だった。
火曜以外は休みはなく、俺と里奈の運動会も午前中だけ見たら、いつのまにかいなくなっていたりした。
俺は、どっかで諦めていたけど
まだまだ幼い里奈はいつも
ママ、ママと纏わり付いて泣いていた。
母親は、俺達にはいつも
ごめんね、ごめんねとしか言わなかった。
俺はその頃から、何故謝ってばかりいるんだと、母親をどこかで軽蔑していたと思う。
大人になって分かった事だが、母親は母子家庭手当を受けていたはずだ。
今なら、就労時間もうるさく言われるんだろうが、当時は
そんな事も適当で、母親が勤めていた美容室も経営者は
とにかく厳しく、残業代が付かないのは勿論、練習会、講習、と母親を毎夜遅くまで拘束した。
俺は小学校を卒業し、地元の中学に入学した。
相変わらず、学校で友達と呼べる人間はいなかったし、本当は野球部に入りたかったが、ユニフォームやスパイクを買う金が無かったから諦めた。
だから、図書館で借りた本を家で読んで過ごす事が多かった。
学校での成績は常にトップクラスだったんで、俺が貧乏だからってイジメる奴もいなかった。
恐らく、変わった奴、キモい、そんな感じで受け取られていたと思う。
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