第1章

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そして、中3の2学期、俺は高校受験の志望校を県立の進学校一本にする、と担任教師に伝えた。 俺は必死で勉強した。 そして、見事、合格した。 俺の人生は俺が切り開く!とその時強く思った。 高校に通い始めて、彼女も出来た。 同じ高校に通う、柏木真由美。 彼女とは高校1年の時同じクラスだった。 俺が本を読んでいると 「何読んでるの?」と声をかけて来た。 「ドフトエフスキー」と答えると 「へえ、面白い?」と聞いて来た。 俺は「べつに」と言った。 彼女はケラケラと笑って 「別にって、面白くない本を読むって苦行じゃない?私は自分の好きな本しか読まないタイプ」と言って、大袈裟におどけたポーズをとって見せた。 高校まで女子から話しかけられた事がほとんど無かったし しかも、こんな俺と楽しそうに話す真由美が凄く可愛く思えた。 それから毎日学校で話すようになり、彼女の家にも遊びに行くようになった。 彼女の家はごく普通の一戸建てで 父親は公務員、母親は歯科衛生士をしていると言っていた。 彼女にも2つ下に妹がいた。 俺が遊びに行く時は、決まって自宅には誰もいない時で、俺が帰る頃に母親が帰って来て、玄関で 「おじゃましました」と挨拶してたから、真由美の母親の横顔位しか、見た事がない。 俺の初体験は、彼女の部屋で、もちろん彼女とだった。 俺は、初めて里奈より大切な人間だと思える人に出会ったような気がして、有頂天になっていた。
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