8人が本棚に入れています
本棚に追加
第1章
本日は、今、美容業界を席巻している、若きceo.櫻井和豊さんにお越し頂いております。
(拍手)
どうぞこちらへ。
今回のゲストはアリスちゃんも、当然ご存知でしょ?
はい。勿論です。私達モデル仲間も大変お世話になっていますから。
では、早速ですが、櫻井さんがこの世界にお入りになったキッカケから伺いたいんですが…
俺は今、日本の大企業のトップが呼ばれるこの番組『日本の証人』に出演している。
やっとここまで来た。
(俺が、ここまで来るのにどれだけ苦労したと思ってるんだ、バカ女。
俺はあんたみたいな、親が金持ちで、海外で知り合った女と結婚して出来たハーフタレントが大嫌いなんだよ)
「そうですねー、キッカケって別にないんですけどね、亡くなった母親が美容師だったんで……」
俺は、東京で産まれた。
父親はトラック運転手で、俺が物心ついた頃には、いつも酒に酔って母親を殴っていた。だから、あいつの記憶は母親を殴ってる顔と怒号しかない。
うちは大久保にある木造モルタル造りの二階建てアパートの一階だった。
俺には2才下に里奈って妹がいる。親父が母親を殴ってる時は俺は、里奈を引っ張って押入れに隠れて、ただただ騒ぎが収まるのを待つ。
だから、俺はずっと親父が帰って来なければ良いのにって思って暮らしていたし、いつもいつも親父に殴られてる母親を見てるのが辛くて、幼心にどうして逃げないんだと思っていた。
俺が小学校3年になったばかりの頃、母親は俺と里奈を連れて親父の住むアパートを出た。
その後は、神奈川県厚木市の古いアパートに3人で住んだ。
母親の父親、俺にとっては爺さんが、昔よく母親を連れて厚木の知り合いの家に遊びに来ていたらしい。
それで、少しは土地勘があったようだった。
母親は、親父と結婚する前は、美容師をやっていたらしく、俺と里奈2人なら、又、美容師をやって食べさせられると思ったようだ。
俺は大久保の小学校でも馴染めないまま転校したが、転校先の小学校でも、馴染めなかった。
最初のコメントを投稿しよう!