第1章

228/332
前へ
/332ページ
次へ
「あ、姉ちゃんおかえり!」 「お姉さんおかえりなさい」 「知都世さん、おかえりなさい」 「……おかえり」 「ただいま」  4人から笑顔を頂いた私は嬉しくなったのだけど、 「姉ちゃんそんな頭で出かけてきたのかよ。オレ、恥ずかしくなってもう外には出られねぇよ。女なんだからミダシナミに気をつけろよ」  都雲が私を指差して言ってきた発言に反射的に髪を触れば、まだ寝癖がハネていた。 「ヤだ。恥ずかしい」  私は2階の自分の部屋に逃げ込んだ。  ベッドの上に飛び込む。  ああ。やってしまった。  色々な人に見られたし、普通に接してくれたけど、心の中では笑っていたに違いない。 「恥ずかしい」  私はベッドの上でゴロゴロと寝返りを打つ。  しばらくそうしていると、携帯電話の着信音が鳴ったから、ディスプレイを確認しないで通話ボタンを押した。 「もしもし」 「あ。知都世? オレだけど……」  わざわざディスプレイを確認せずとも声だけでわかる。電話に出なきゃよかった。自分の発言を撤回したことになるか、私がバカみたいじゃん。いや、バカですけども…… 「どちらの源さんですかぁ?」
/332ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加