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なにかをボソボソと言ってきたけど、声は珍しく小さかったし携帯電話を耳から離していたから聞き取れずに聞き返す。
「奏多兄(にい)ちゃんのコンビニで、男と親しそうに笑いながら昼飯を食ってたんだって? 誰?」
なんだ。そんなことか。
「どこ情報ですか?」
「さっき買い物に行ったら奏多兄ちゃんがおばさんから聞いたって」
オレンジ色の夕陽が差し込んでいる部屋の電気を点けて枕元の目覚まし時計を見やれば奏多さんがレジに入っている時刻になっていた。どうやら私はベッドの上でゴロゴロとし過ぎていたらしい。そういえば、階下のリビングが静かになっている。如月くんと弥生くんはもう帰ったのかな。もしかしたら一瞬意識を夢の中に飛ばしていたかもしれない。……夢の続きは見られなかったなー
「……なぁ、おい。無視すんなよ。オレのこと嫌いになるなよ」
「ええ。ああ。うん。無視じゃない。考え事をしてただけ」
「考え事? なんだよ。悩みでもあるんなら聞いてやってもいいけど」
珍しく優しい言葉を言ってくれる。
――なにごとにも表裏一体。コインにも裏と表があるように、人間にも裏と表がある……
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