第1章

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私は医者だが別な仕事も持っている。 収入の面だけで考えれば、もう1つの仕事の方が本業といえた。 隣国の1つであるA国の幾つかの病院と連携して、臓器の売買を行っている。 私の祖国であるM国の貧乏人が私の経営する病院でくたばると、その家族に雀の涙程の金を渡し遺体を買い取って遺体から臓器を全て取り出す。 それから連携している幾つかの病院に連絡を入れ、一番高い値段を表示した病院に売り渡すって訳さ。 高い値段をどこの病院もつけなかったり売れ残ったりした臓器は、私が所属している組織がA国で経営している病院に引き渡す。 臓器としてでは無く容器としてだが。 移植用臓器の移送は時間との戦い。 国境で密輸を警戒している国境警備隊や税関の監視の目も、移植用臓器の検査はおざなりになる。 それで私は売れ残った臓器の中に麻薬を詰めて渡すのさ。 臓器の中に麻薬を詰め込んでも高が知れているが、この密輸を始めてから一度も捕まった事が無いのが私の自慢なのだよ。
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