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俺のそれからの毎日は、それ以前とは比べものにならないほど快適になっていった。
葵は昼前にやってくると、閉めっぱなしにしているカーテンを開け、明るい日差しを一杯に室内に入れながら、布団を干し鼻歌を歌いながら昼食を作る。
そして、午後は夕食の食材や翌日の朝食用のパンを買い物してきて、俺を風呂に入れ、室内を片付け、夕食の用意と薬を出して帰っていく。
時間が余った時などは、二人して他愛のないタレントの話や、美味しい食べ物の話などで盛り上がった。
そんな時、葵は俺の肩に手をかけたり、膝をさすったりしてスキンシップをはかってくる。
葵は、かいがいしく働く優秀なヘルパーだった。
俺は葵なしでは生きられなくなっていった。
その感情が恋に発展するまでに時間はかからなかった。
俺は、葵に出会うために身体の自由を無くしたのだと、そう考えれば自分に降りかかった理不尽な不幸にすら納得がいく。
そう、これはきっと運命なのだ……!
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