15人が本棚に入れています
本棚に追加
/143ページ
プルルルルルルル
翌朝、しつこく鳴り響く着信音に叩き起こされた。
俺は朝が遅い。
今日は午前中、葵が来ないので、ゆっくりと寝ているつもりだったのに!
仕方なく枕元の固定電話に手を伸ばす。
「もしもし、梶尾さんのお宅ですか?
どうも、ご無沙汰いたしまして、中央地区包括支援センターから紹介を受けました卯野(うの)と申します。
退院後、ご不自由はされていませんか?ヘルパーの派遣はいかが致しましょうか?」
「はぁ…!? ヘルパーさんなら、いつも来てもらっているから、べつに困っていることはないよ」
いったい何いってるんだこの人、叩き起こされて機嫌が悪いってのに。
「そんなはずはないでしょう! まずは、障害者支援相談員である私が手配しない限り……っていうか、まだ、障害プランも作っていないのにヘルパーが来てるなんてあり得ないわ!」
電話の相手は、受話器の向こうで勝手に興奮してから、ふーーっと、ひと息入れたようだ。
「まぁ、貴方も事故の後遺症とショックで、色々と混乱している時期なのかもね。とにかく外出なんかできないから、ずっと家に居るんでしょ?
こちらの都合で悪いけれど、今からそちらに伺いますので」
そう言い残すと、電話は半ば一方的に切られた。
葵が派遣されたヘルパーではない!?
いったい、どういうことなのだ……?
最初のコメントを投稿しよう!