season.2

10/10
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/143ページ
プルルルルルルル 翌朝、しつこく鳴り響く着信音に叩き起こされた。 俺は朝が遅い。 今日は午前中、葵が来ないので、ゆっくりと寝ているつもりだったのに! 仕方なく枕元の固定電話に手を伸ばす。 「もしもし、梶尾さんのお宅ですか? どうも、ご無沙汰いたしまして、中央地区包括支援センターから紹介を受けました卯野(うの)と申します。 退院後、ご不自由はされていませんか?ヘルパーの派遣はいかが致しましょうか?」 「はぁ…!? ヘルパーさんなら、いつも来てもらっているから、べつに困っていることはないよ」 いったい何いってるんだこの人、叩き起こされて機嫌が悪いってのに。 「そんなはずはないでしょう! まずは、障害者支援相談員である私が手配しない限り……っていうか、まだ、障害プランも作っていないのにヘルパーが来てるなんてあり得ないわ!」 電話の相手は、受話器の向こうで勝手に興奮してから、ふーーっと、ひと息入れたようだ。 「まぁ、貴方も事故の後遺症とショックで、色々と混乱している時期なのかもね。とにかく外出なんかできないから、ずっと家に居るんでしょ? こちらの都合で悪いけれど、今からそちらに伺いますので」 そう言い残すと、電話は半ば一方的に切られた。 葵が派遣されたヘルパーではない!? いったい、どういうことなのだ……?
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!