season.3

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「あのね、梶尾くん」 しばらくの沈黙のあと、口を開いたのは卯野からだった。 「あなた、障害者自立支援法ってご存知? はい、車に轢かれました、退院して都合よく、こんにちはーーって、ヘルパーが訪ねてくるわけがないでしょう!?」 しかし、実際に葵が来ているんだから、仕方がないし。 卯野はさらに続けて話す。 「まず、障害者手帳の申請をして…まぁ、これは入院中に医師に勧められてやってるわよね。 それから、障害者受給者証、これがないとホームヘルパーのサービスは受けられないの。 市役所に来て自分で申請した?してないでしょ、それから訪問調査があって、障害支援区分の判定、事業所との契約、ケアプランの作成と、その他諸々の山のような手続きがあるんですからねッ!」 卯野は、そこまで一気にまくしたてると、丸い顔を紅潮させてゼイゼイ荒い息をした。 「そんなこと、知るわけないだろう」 俺は卯野に冷ややかな視線を送る。
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