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健常者の彼女が、障害者の俺に惚れるなんてあり得ない。
そう、以前の自分ならまだしも……。
「あの俺、元気な頃に、事故に遭う前に君に会ったことがあるのかな? 悪いがぜんぜん覚えていないんだけど」
俺にはまったく記憶にない。
いくら記憶障害があるといっても、こんなに可愛く魅力的な娘に会って覚えていないはずがない。
「いいえ、いいえ」
葵が、かぶりを振る。
「そんな昔のことじゃないんです。車椅子を漕いで、懸命に自動販売機でジュースを買おうとしている正登さんを見て、好きになってしまったんです。
私……障害を持った男性(ヒト)しか愛せないんです。信じて……もらえませんか?」
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