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まあ、それはさておき。
いつもなら軽い気分のはずが長官の一言で僕だけが重い気分なのだ。
会議室を抜け、気分と同じく重い足取りで廊下を進む。
そして、突き当たりである長官室の前に辿り着いた。
色々とここ数日での自分の行動を思い返してみたが、呼ばれた理由は結局浮かばない。
はっきり言って帰りたかったが、来るのが遅いとまたお叱りのタネが増えてしまうので意を決してドアを開けた。
「失礼します。第二部隊副隊長、ウィル=ロワールです」
「おお、待っておったぞウィル」
椅子に座り何かの書類に目を通していた彼女、カルノア=スラー長官が顔を上げる。
眩しいほどの長い金髪。
どうしようもなく整った顔とそこから醸し出される凜とした雰囲気。
やはり、一人で対面すると改めて威圧感の様なものさえ感じてしまう。
「すみません、考えてはみたのですが呼ばれた理由に心当たりがありません。何か気づかない内にミスを犯してしまったのでしょうか」
「……ふむ。どうやら私に呼ばれることは何か怒られることだと思っているのか」
「……いえ、そういう訳では……」
「ならそんな事を言うのは止めろ。軍人たる者、自分の行動には自信と信念を持てと教えたはずだ」
「も、申し訳ありません……」
とりあえず何か失敗をしたわけではない様だ。
かえって余計な事を言って釘を刺されてしまった。
まあ良い。本題に入ろう。一応言っておくが呼んだ理由は説教をする為ではない」
「はい。ではその本題とは?」
「ああ。 ウィル、お前に軍を抜けてもらう」
「はい。……え?」
あれ、僕クビになったってこと……?
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