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何と返せばいいのか困ってしまった。
とりあえずおめでとうという言葉を拾って
「ありがとうございます……」
と返してみたもののこれは正しい返答ではないかもしれない。
「まあそう戸惑うでない。私は学生時代に戻れるものなら戻りたいくらいだ。学生時代を二回も経験できるなんて羨ましいとすら思うぞ」
「そうは言われましてもね……」
「魔法界へ行くのは一週間後だ。あまり時間を作ってやれないのは申し訳ないが、それまでに準備はしておいてくれ。あ、事務的な部分については私が行っておく。とにかく、伝えたかった事は概ね以上だ。次の予定があるので一旦話は終了とさせてくれ」
「あ、はい。失礼します」
そう言って僕は長官室を後にした。
話は以上と言われても、僕の気分は全く整理が出来ていない状況だ。
突然軍を抜けろと言われた事。
詳しい事情も知らぬまま、魔法界に行くという事。
そしてそこで学生として過ごす事。
今までの自分の生活とは何もかもが変わるという事だけは理解できたが、やはり不安で仕方がない。
「……部屋に戻ろ」
僕は寄宿舎へと帰る。
結局、帰りの足取りも重いままだった。
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