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第1話 僕はこの世界を離れます。
「ウィル、重要な話がある。この後すぐに長官室まで来てくれ」
突然、カルノア長官にそんな事を言われたのは軍議の終わった夕刻だった。
怒られる。
まず第一にそんなことを考えてしまった。
怒られている事は何度かあるのだが、怖いという言葉すら生温い。
そもそもただ呼ばれただけなのにこんなことを考えてしまうのは我ながら情けないところであるけれど。
「やばい……。僕なんかやらかしたっけなぁ……」
周りでは、軍議も終わったことで緊張が解けて仲間と談笑している人が多い。
特に今の軍議は第一部隊から第六部隊の隊長、副隊長に加えて長官が入る月例の軍議だ。
そのため僕の出席すべき軍議としてはトップクラスに緊張感があり、いつもなら僕も気楽になっていた事だろう。
ちなみに、第一部隊から第三部隊までは野戦や遠征を、第四部隊は隠密と潜入、第五部隊は本部拠点防衛をそれぞれ担っている。第六部隊に関しては目的が明かされていない。一部の人間しか知らされていないそうだ。
一応国に属する軍であり、ほとんどの場合国の治安維持や暴徒鎮圧のために活動を行う。というか、僕の知る限りでは他国との戦争は今まで起こっていない。
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