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終章
あれだけ遠く感じた文化祭はあっという間に始まってしまった。
俺と言えばただでさえ少ない居場所がさらに減り、心許ない気持ちで学内を徘徊していた。
劇の方はどうなっているのか分からない。あれ以来俺は練習に顔出してないし、クラスメイトとの溝が更に深まってしまった。
しばらくして復帰した新庄とも、なんだか気まずくて俺の方から避けていた。
しかし、元在るべきところに戻った、それだけの話だ。
日陰者は日陰から出るべきじゃなかったのだ。
ふらふらと歩いていると、屋上へ向かう階段が見えた。俺は屋上への扉に手をかけると簡単に開いてしまった。これ開くんだ。
屋上には誰の姿もない。ようやく人心地つける。横になると、心労もあってか眠ってしまった。
『これから後夜祭を始めます!』
アナウンスの声で飛び起きた。気が付くと周囲はすっかり暗くなっており、金網越しに校庭が見える。煌々と焚かれたキャンプファイヤーの周りを生徒たちがたむろしている。
皆、楽しそうに踊っている。俺も、もしあのまま頑張っていたらあぁなってたのかな?
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