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第三章
文化祭まで残った時間も段々と少なくなってきた。
一際、学内の喧噪は増していく。
2ーBの劇もどんどんと形を成していっている。
始まったばかりの頃は、新庄に押されていたクラスメイトたちも新庄の熱が移ってきたのか精力的に活動していた。
衣装や小道具も完成し始めており、結構なことだ。
そして、俺たち役者班もいよいよ大詰めに突入してきた。
「それじゃあ次はクライマックス! 皆頑張ってこ~」
役者の誰よりも声を出して喝を入れる新庄だが、顔をマスクで覆っている。声も心なしかガサついている。
「大丈夫か?」
と声もかけたが、
「いや~大声出し過ぎて声枯れちゃったよ~。古谷のせいだぞ」
と軽口を返すばかりだ。心配であったがこないだから新庄とまともに会話が出来なくなっていた俺は、そこで退いてしまった。
今も新庄のことは気になっているが、それ所ではなかった。
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