第三章

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新庄がゆっくりと歩いてくる。そのふらついた足取りは、本当に物語の中から飛び出してきたかのように真に迫っている。いや、でも様子がおかしくないか?  新庄がそろそろ倒れる位置につく。そしたら俺の番だ。しかし、新庄は立ち止まらない。どうしたんだ? もう位置は過ぎたぞ?  新庄の様子がおかしいと思った矢先、新庄が力なく倒れた。  全員が固まった。皆最初は演技かと思ったのだ。  俺は新庄に駆け寄り、身体を起こした。皮肉にも劇中の再現のようになってしまったが、それ所ではない。 「新庄? 新庄!!」  新庄の身体は信じられないほど熱かった。まずいまずい、これはまずい! 「保健室に!」  保険医によると、高熱による立ちくらみらしい。安静にしていれば、大事にならないとのことで、今新庄は保健室のベッドに眠っている。  親御さん呼んでくるからといって保険医が出て行ったので、今ここには俺たちしかいない。  ベッドで眠っている新庄を見ていると、酷く胸が痛んだ。こんな風になるまで頑張ってたのか。  それなのに、あいつらは、俺は。自分の無力感とそして、怒りが湧きだしてくる。
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