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「俺さ、最初は嫌だったんだ。なんで俺なんてって」
もちろん新庄から返答はない。それでも俺は話し続けた。
「俺みたいなやつを使うなんて悪い冗談だろ? まぁ、てきとーにやってお茶濁すか、そんな風に思ってた」
そうだ、俺に主人公なんて出来るわけ無いと思っていた。
「でも、新庄になんでそんな本気なのってきいた時の答えに、俺、本気で感動したんだ。」
こんなやつがいるんだって。
「すげぇ眩しく見えてさ。俺も頑張ったらそうなれるのかなって、思ったんだ」
スポットライトに当たる柄じゃなかったけど、そこが眩しくて、温かそうで、憧れたんだ。
「俺も頑張ろうって思えたんだ。新庄がいたから、新庄のために、いや、俺自身のためにも劇成功させてやろう!って」
だから、ありがとう。
ここまで来て俺はあの時の衝動の正体に気づいた。俺はあの時、新庄に、この一生懸命な女の子に、惚れたんだ。
「だけど、ごめん。俺今から本気でぶつかってくるよ。そしたら、もしかたら新庄が頑張って作った劇更に滅茶苦茶になるかもしれない。ごめん」
ごめん、新庄。
「俺やっぱり主人公むいてなかったわ」
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